週刊文春の連続追求はジャーナリズム魂

= 財務局職員、公文書改ざんに追い込まれ自殺 =

 週刊文春(平成30年3月11日号)は次のように書き出している。3月7日、近畿財務局長だった赤木俊夫さんが公文書改ざんの強制を苦にして自殺した。

 その妻だった雅子さんが絶望の日記を初めて公開した。

 主要な部分を文春から引用しよう。

「森友学園に格安で打った国有地の取引きをめぐり、財務省は公文書を不正に書き換えた。安倍首相(当時)が『取引きに私や妻が関係していたら、総理大臣も国会議員もやめる』と国会で大見得を切ったが、文書に妻・安倍昭恵さんの名前が何カ所もあったからすべで書き換えて消した。」

「その不正行為を現場でやらされたのが赤木俊夫さんだ。改ざんに反対したのに、職場に見放され自分一人のせいにされる、と苦しみ抜いて自ら命を絶った。」

「財務省・佐川宣寿理財局長(改ざん当時)が改ざんを指示した、と俊夫さんの遺書に残されている」。

 上記の通り、佐川は安倍首相の意向を「忖度」した。

 週刊文春のジャーナリスト魂のすごいところは、赤木さんの自殺を死後も追っていることである。

 大手新聞、NHKテレビ、民法テレビなどは一過性の問題で処理して、その続きがない。マスコミとは何となさけないことか!

 週刊文春が追いかけている「真実」に対して、政府・安倍、そして安倍官邸グループは文春を告発することもしない。「どんなに騒がれても、時がたてば忘れられる」とタカをくくっているのが読み取れる。

 一国の総理大臣が戦前の桂内閣の記録を破る首相在任期間新記録を作ったとしても、財務省職員を自殺に追いやった事実は、政党史に残る大きな汚点である。

 このやり方は、かつて北朝鮮の金正恩総書記が腹ちがいの実兄をクアラルンプールの飛行場で密使を使って殺害した手口にそっくり。

 それが日本マスコミは通り一遍のモリ・トモ事件として赤木俊夫さん自殺で片付けるにしては、日本のマスコミは泣く。

 今からでも遅くはない。日本のマスコミは文春のように安倍追求の手を止めてはならない。文春がんばれ!

 赤木さん自死(自殺)は新しいニュースではないが、マスコミは執ように追いかけるのがマスコミの使命でもある。

 赤木さん自死の前、赤木さん宅の上空で自衛隊のヘリが舞っていた、と民放テレビで放映していたが、これは赤木さん威嚇ではないか、と疑ってしまう。

 一番重要なことが最後になったが。モリ・トモ問題、桜を見る会、など政府・官邸が出した文章の多くは戦前のような黒塗り文字が圧倒的に多く、国民の目を誤魔化す作文ばかりが目についた。

 それは財務省の佐川宣寿が安倍首相に忖度して近畿財務局を動かしたことは、赤木遺書で明白になっている。

 そうした事実を知りながら、安倍は赤木さんの墓に線香の1本もあげずに逃げきった。これは人間ではない。首相ではない。

 今、これを切(斬)りこむジャーナリスト隊長もいない。ということは日本国はなさけない。

  *番外編「新聞不信」(週刊文春、R3・3・11)

「菅義偉首相の長男が勤務する東北新社から総務省幹部が接待を受けていた問題で、同省が11人を処分した。

 各紙は25日付朝刊で紙面を大きく割いたが、一連の疑惑が浮上して、かなり時間がたっているのに、同じことを書いている。

 毎日は『菅首相揺らぐ足元』政権運営が厳しくなったというおなじみの話。

 朝日は『接待の目的や広がり、行政への影響など、はっきりしない点がまだ多い』と情報番組の
コメンテーターが言いそうな記事を載せた。その隠された事実を明らかにするのが新聞の使命だろう(中略)

 読売は、衛星放送で使われる周波数に限りあり、総務省は割り当て再編と新規参入を進めていたこと、衛星運用会社に支払う利用料金の引き下げ問題が接待の背後にあるのでないか、と書くだけで、先の政策の見通しを書いていない。(中略)

 日経は、総務省幹部の処分を報じた25日付け朝刊まで4回にわたって『携帯値下げの攻防戦』という連載を載せた。書いてあるのは通信事業者の話ばかりで、不祥事の永田町や霞が関への影響な見事に避けている。取材不足か政権への忖度か。」

     *  *  *

上記の一連の総務省問題は、もし「文春」があばかなかったら何事もなく「記憶にございません」「知りません」──で済まされた。これでは世間では新聞もテレビもいらない。文春だけ読んでいればよい(笑)笑えない日本マスコミの現実である。(実)