フリーハンドの安倍首相、米朝の虎に鈴をつけよ

死にもの狂いの「外交」で戦争回避を

 今日(9・15)早朝、北朝鮮は北海道上空を飛んで、日高の襟裳岬沖2200キロ地点の太平洋に弾道ミサイルを落下させた。これで6回目だ。

 こんなことは、これからひんぱんに日本海、日本列島、太平洋に向けて米国を射程内に入れたミサイル実験をやる。そのたびに日本国内ではJアラート(全国瞬時警報システム)で脅され、たまったものじゃない!

 こんなこと、いつまでもやられては、日本人は精神病かノイローゼになる人も出てくるのじゃないか。

 今までは早朝のミサイル発射が多かったが、先日は夜に発車したね。それじゃ、夜に外に出て、日本人みんな固い建物の中に移れ、というのか。

 発車から10分~15分で着弾するというのに、「逃げろ」と言われても、逃げる場所もない。トホホだ‥‥‥。

 今年7月のミサイル発射の時は、東京では新幹線も地下鉄も一時ストップしたけど、その時、「地下鉄にもぐれ」という指示もあった、という。それじゃ、「地下鉄に走れ」といっても、東京だけで1千万人以上も住んでいるのに、まともな議論を通りすぎて、まるでマンガの世界じゃないか。(笑)

 だからといって、これはマンガじゃなくて現実の世界、日本だから困るんだ。その昔、戦中、アメリカの敵機がやってくると、防空ズキンをかぶって土盛りの防空壕へ逃げていたけど、今だってJアラートの音を聴くと「赤ズキンちゃん、防空壕に代わる固いビルか地下にもぐりなさい。」と言われているようなもので、まさに戦争の歴史は繰り返すだな。そのうちに「竹やり」を持って北朝鮮と戦え、といわれる。(笑)全国に迎撃機の「PAC3」を配置したが、撃ち落としたためしがない。

 それにしても安倍という首相はバカだな。北朝鮮のミサイル発射のたびに、すぐアメリカ大統領に国際電話を入れて、「日米同盟は、さらに強固になった。」とか、「北朝鮮は遺憾である。北鮮は即ミサイルを中止せよ。」と抗議した──と、まるで「オウム返し」の談話ばかりだ。

 国民からみると、こうしたオウム返しにウンザリしている。学校でも首相のオウム返しが、はやっているそうだ。(笑)


 ところで今、アジアで一番政治的にフリーハンドを握っているのは、日本の安倍首相なんだ。それがヨーロッパ旅行したり、アジアに関係のない地球のウラや端ばかり旅行して、まるで新婚旅行のようにして安倍夫妻はカネをバラまいて喜んでいる。

 1カ国当たりの安倍の援助資金は3000送苑、5000億円、8000億円、と桁ちがいのカネを円借款か何か知らないが、バラまいている。こんなことをやれば、どこの国だって大喜びするよ。日本の赤字財政は1000兆円を超えているというのに‥‥。

 朝日新聞にしても昨年秋だったか、今年の春、「首相就任以来、世界52カ国をまわった安倍首相は、戦後首相の記録男だ」ともてはやして見出しをつけていた。

 こんな大金、いったいどこから出ているのか、と問いたい。国会でもこういう大金をバラまく旅行は、誰がどうやって認めているのか。そういう議論も聞いたこともない。

 それにしても安倍は米国のトランプ大統領と「仲良しこよし」になりすぎた。私は以前からこういう安倍流れの日本お友達内閣と同じような体質の米国一辺倒、トランプ一辺倒の恋愛には、すごく危機感を持っていたんだ。

 中国では昔から「敵の敵は味方」という言葉があるように、安倍はもう少し柔軟性のある多彩じゃ外交を展開してほしいのだが、頭がピーマン(カラッポ)だ。

 中国と外交をうまく生かしていれば、北朝鮮のパイプも使えるのに。右翼同類項の石原慎太郎でさえ、安倍の頭を疑っているよ

 北朝鮮の金正恩親分は、命がけで米国に対抗して戦争も辞さない覚悟で脅している。それに比べると、安倍はホントにのんきで、言葉の遊びでしかないのんびり談話ばかりだ。

 今、世界でいちばんフリーハンドを握っているのは先にも言ったように、安倍しかいない。だったら、この際、隠密でも忍者でもよいから(笑)、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席とウラ外交すべきなのに、ほとんどそれをやらない。

 プーチンや習近平と直接、接触できないのであれば、それより以下の閣僚クラスでもよいから、出来るところから「外交」を展開すべきなのに、ほとんどやらない。

 戦後最大の日本国家危機の時代に、プーチンと北方領土の経済交渉どころじゃないだろう。そんなものは二の次だ。

 さらに言えば、北朝鮮と日本の交渉にしても、日本には在日朝鮮人もおり、金正恩以外の部下や隙間から人材を見つけて、死にもの狂いの外交をやらなければならないのに、その姿が全く見えてこない。


 自民党には中国、ロシア、北朝鮮ルートの人材もいないから、最近、プロレスの猪木議員が拓大の武貞修士(元防衛省幹部)教授を従えて北朝鮮入りし、北朝鮮トップクラスの役人と会談しているが、見習ってほしい。

 外務省OBは「猪木さんの個人プレー」と揶揄する声もあるが、「戦争とは外交がゼロになった時、戦争の始まりとなる。」ことで、歴史が教えている。

 また、「国連決議」で「北朝鮮への石油ストップ」の提案が出ているが、これは日本が石油ストップかけられて真珠湾奇襲攻撃したのと同じスタイル。これでは更なる北朝鮮の暴発を呼ぶ。

 小泉純一郎首相時代、安倍は官房長官として同行して北朝鮮との唯一の政府間交渉をしてきた1人なのに、その後の安倍は北朝鮮に関係することは何もしていない。

 拉致(らち=人さらい)された人たちの親たちは、もう80歳、90歳になっており、残された人生の時間がほとんどない。そうそしたことも安倍は言葉だけでごまかして、国民からみれば逃げているようにもみえる。

 北朝鮮政府が拉致を認めてから今年9月で15年になる。拉致問題は金正恩の父親政権時代に聞いたことだが、「戦時中、日本は36万人もの朝鮮人を連行しているのだから、日本人の100人や500人を拉致したってどうってことはない。」と韓国に脱出してきた北工作員は私に新宿で語っていた。

 私は小泉首相の時も安倍首相の時も、口をすっぱくして批判してきたが、戦犯を奉る靖国神社詣では「外交に傷がつくからやめよ。」と言ってきた主張は、ここにきて正しかったことが証明されたでしょう。

 戦争に負けて「ポツダム宣言」を受諾した日本が「戦犯はいない。」とか「侵略の定義はわからない。」「東京裁判は受け入れられない。」と敗戦後70年もたって否定し続けるアンポンタンな安倍首相の暴言は、今となっては中国、ロシア、さらに北朝鮮まで外交の道筋を閉じて、日本の外交は「袋のネズミ」ではないか。

 アメリカ政府でさえ、戦争に負けた日本が、今さら何を言うか、と怒っている。こんなことになることは、日本の中学生や高校生でもわかる。

 朝毎読の3大紙もNHKも、安倍の「袋のネズミ論」も言わないのだから、日本のマスコミもだらしない。日本国家浮沈の重大な時に、文芸春秋とやらの週刊文春などは、政治家の女と男がふっついたとか離れたとか、芸能人並みに大々的にニュースにしているが、テレビも含めて日本のマスコミは一体何をやろうというのか。もっと国家の一大事の時に、右も左もなく、やることがいっぱいあるだろう。(怒る)


 私はあんたより10歳以上も年上の中学生だったが、広島でキノコ雲のような爆弾が落ちたというから、翌日、隣り町から歩いて広島市内に入ったら、まるで「地獄絵図」だったよ。

 まだうめき声をあげている人間が、全身の肌が焼かれ「熱い、熱い」と言って川に入っていく人間が次々と死んでいくんだ。

 私が歩く間には、母親が真っ黒に焼けて赤ん坊を胸にだいて、うずくまって死んでいる姿‥‥これらを思い出すだけて涙が出てくるよ。

 だから、絶対、戦争だけでほしくない。戦争になれば、北朝鮮だって民衆はあの日の広島の姿と同じ惨事になるよ。

 この北朝鮮の狂気のミサイル実験に味方するわけではないが、北朝鮮の金正恩という若僧が、世界一の権力者・米国を相手に、命がけで戦おうとする肝っ玉の度胸だけはすごい。安倍には、米朝戦争を命がけで戦おうとする気概は、みじんもみられない。

 アメリカは、これまで250年の歴史の中で、世界的な大戦争で負けたことがないから、自国の悲惨な戦争体験がない。

 だから、すぐに軍事力でも何でも持ち出して、力づくで相手国を威嚇するが、アメリカはもう少し「外交」の手段をあの手この手で、ワンクッション置いて考えてほしいな。

 トランプ以外の米大統領だったら、もっと違った展開になったかもしれない。広
島原爆の原稿を見た者として、アメリカのストレート対決は、映画の西部劇だけにしてほしいよ。(笑)

 広島、長崎が原爆の洗礼を浴びたのも、日本人が黄色人種だったから──という説が今も残っている。当時は白人優位とか白人優秀説が流れていた。(注・トランプ大統領時代の今も白人対黒人で、アメリカは局地的にもめている。)このことが日本初の原爆投下につながった、とも言われてきた。

 こうした説を歴史の中で軽々しく証明できないが、日本からみれば、北朝鮮人もアジアの一角の黄色人種だ。いくら北朝鮮が日本からみて憎々しい存在の国家であっても、やはり同胞に黄色人種がアメリカの軍事力によって原爆、水爆で民衆が全滅させられる光景を思い浮かべると、とても我慢できない。

 在日の北朝鮮人によると、おの大戦で大陸の北朝鮮人(当時は朝鮮人)は日本兵に父母、肉親を殺され、戦後70年たっても忘れるものではないし、日本をうらむ──と言っている。これが立場が逆なら我々も日本をうらむよ。


 ここはなんとしても、アメリカは「外交手段」で北朝鮮をなだめて、外交で共にウイン・ウインの関係で納めてほしい、願うばかりだ。

 そうなると、先にも申した通り、現在の地政学でみると、安倍外交がホントに必要なのだが、本人は全く「遊び」のような外交ばかり。

 言葉だけの外交で、「行動」が伴っていない。安倍の心の中は「虎に鈴をつける気」が全くない。困ったものだ。

 安倍がこの地球の危機、アジアの危機を救ってくれれば、あんな森友学園、加計学園のようなゴミみたいな利権は全部、安倍にくれてやるよ(笑)。

 それをやりとげれば、どんな「どんな安倍坊ちゃん首相」といわれても、ノーベル平和賞をあげるよ。

 平成29年(2017)9月15日  2017・グループK(三者鼎談)


 追記・「北朝鮮情勢、戦争回避が最優先」(朝日、9・25、声の欄)

 国連総会で安倍首相は北朝鮮への対応について「必要なのは対話ではなく圧力だ」と強調した。その前日、トランプ大統領は北朝鮮を「完全に破壊するほか選択肢はない」とまで述べた。(中略)相手側から見れば、我国が不戦憲法を持っていようが、同盟国の名のもとに足並みをそろえて圧力をかけてくる国々は、「敵」として同一視するだけだろう。

 ある日、ミサイルが日本に撃ち込まれて不思議はない、とさえ思う。いま、政府が最優先にすべきは、戦争の回避だ。(中略)核放棄を求め、期限を切ってでも対話のチャンネルを開くのが、その道ではないだろうか。(税理士、井藤正俊=55)