平成天皇の意向を無視した安倍主導
平成天皇の退位をめぐり、もめている。自民・公明は現在陛下一代限り退位の特別法を主張しているのに対し、民進・共産などは退位の恒久制度化を図る皇室典範の改正を目ざして双方平行線。
自民党は天皇の意志を盛ることは憲法の規定に触れる(=天皇は国家に関する権能を有し得ない)と指摘する。
しかし、「皇室会議などの議決を併せて必要とすれば、進退を天皇の自由な判断に委ねることにはならず、憲法の趣旨に反するとは思えない。」(上記のフレーズは2月21日の朝日社説だが、私も同感)
私は昨年11月25日にも平成天皇に関する論文「平成天皇陛下の余生は自由人に!」を残しているが、ここで有識者会議そもそも論を展開したい。
これまでの天皇に関する有識者会議の主なるメンバ−16人を見ると、初めから結論ありきのメンバ−になっていることです。
公平に選んだように国民に見せかけているが、このメンバ−選定は首相が目をつけた終身在位制に重点を置いたメンバ−を先にツバをつけて配置しているだけ。メンバ−を見ると御用学者のオンパレードである。
その証拠は右翼の女王:桜井よしこ、右翼の論客:渡部昇一という両横綱を配し、さらに若手の右翼の天皇バンザイ組の○□△▽を入れて、有識者会議の過半数が終身在位制にくみする仕掛けが出来上がっている。
それをいかにも自民・公明が首相の顔色をうかがいながら「終身在位制」になびいている風景である。
だから、自民・公明が筋の通らないリクツ・ヘリクツを並べて時間つぶしをしているというのが真相だ。
結局、現天皇一代限りの退位の特例法に「付則」をつけておしまいにすることがミエミエの芝居である。
私がなぜ、右のように強く主張するのかといえば、一つは国民の総意(世論)は朝毎読の3大紙とNHKが80%〜90&まで、平成天皇の意向(=高齢などで公務を果たすことが無理なので退位したい。)に賛意を示しているからです。
2つ目は、天皇であれ、民間人であれ、人間はいつか老いて、死がやってくる。従って天皇といえども人権の見地から「死ぬまで在位」を強いるべきでない。人生の末期は自由人にしてあげるべき。
もう一点を付け加えると、2月23日、皇太子殿下は57歳の誕生日を迎えたが、皇太子殿下は親しい学友に「天皇家に生まれたのは『宿命(運命)』ですから」と喜びとあきらめの入り混じった心境を語っている。
この“あきらめ”という単語は私・村井の思いすごしかもしれないが、私も30歳前後の一時、宮内庁記者クラブに籍を置き、2〜3度、皇太子の独身時代に一対一で対話したことがある。
この「宿命(運命)ですから」という言葉に、この文を読まれる人はどう思うか。己のこととして考えてみてほしい。
今の右翼っぽい安倍首相は、明治憲法と共に採用された「終身在位制」にこだわり、天皇を再び神に近づける(天皇は敗戦後、人間宣言)存在にして、時の政権のうしろ立て(楯?)にしたい心理が読みとれる。
そして、話は変わるが、自民がこれから改正しようとする憲法は「天皇は象徴ではなくて政治を司る元首(=君主や大統領の意味)にしようーー」とする案に私は大反対する。天皇は政治から離れたこれまでの象徴でよい!
平成29年(2017年)2月
村井 実
2017.3.25(土)実施
於:スーパーホテルLohas 1階レストラン 東京駅八重洲口城東小学校隣
《村井実セミナー》